平成22年度 診療報酬改定の概要と解説

往診料の引き上げ

症状が増悪した緊急時の対応など、在宅医療を行うために居宅に赴いて診療を行うことを評価した往診料を引き上げる。
また、往診料は定期的ないし計画的に診療を行った場合は算定できないものであることから、定期的又は計画的に対診を行った場合については往診料を算定できないことを明確化する。

区分 改定前 旧点数 改定後 新点数
C000 【往診料】
650点 【往診料】 720点

在宅ターミナルケア加算の要件緩和

死亡に至るまでの間、在宅において手厚いターミナルケアが提供された場合は、在宅以外で死亡した場合であっても、在宅ターミナルケア加算を算定可能とする。

区分 改定前 旧点数 改定後 新点数
C001 【在宅患者訪問診療料】
在宅ターミナルケア加算
(1)在宅で死亡した患者について死亡日前14日以内に2回以上の往診又は訪問診療を実施した場合に2,000点を加算

(2)在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の保険医が死亡日前14日以内に2回以上の往診又は訪問診療を実施し、死亡前24時間以内に訪問して患者を看取った場合に10,000点を加算




2,000点






10,000点
【在宅患者訪問診療料】
在宅ターミナルケア加算
(1)在宅で死亡した患者について死亡日前14日以内に2回以上の往診又は訪問診療を実施した場合(往診又は訪問診療を行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した場合を含む)に2,000点を加算

(2)在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の保険医が死亡日前14日以内に2回以上の往診又は訪問診療を実施し、死亡前24時間以内に訪問して患者を看取った場合(往診又は訪問診療を行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した場合を含む)に10,000点を加算




2,000点






10,000点

乳幼児加算の新設

小児に対する在宅医療については、患者数が少ないことや、専門性を求められることから十分に普及していない。こうした現状を踏まえ、在宅患者訪問診療料及び退院前在宅療養指導管理料に乳幼児加算を新設する。

区分 改定後 新点数
C001 在宅患者訪問診療料 乳幼児加算 200点
C100 退院前在宅療養指導管理料 乳幼児加算 200点

居住系施設等訪問診療料の見直し

在宅患者訪問診療料については、平成20年度改定において、在宅患者訪問診療料2を新設し、施設等に居住する患者に対して訪問診療等を行った場合の評価として、複数回の算定も可能とした。
一方で、在宅患者訪問診療料2に該当しないマンション等に居住する複数の患者に対して訪問診療を行った場合には、在宅患者訪問診療料1を複数回算定でき、点数設定の不合理が指摘されていることから、見直しを行う。

区分改定前旧点数 改定後 新点数
C001【在宅患者訪問診療料】
1 在宅での療養を行っている患者(居住系施設入居者を除く。)の場合

2 居住系施設入居者である患者の場合

830点



200点
【在宅患者訪問診療料】
1 2以外の場合

2 同一建物に居住する複数の患者に対して訪問診療を行った場合

830点



200点

なお、居住系施設入居者訪問看護・指導料等、訪問看護基本療養費(V)についても同様に算定対象を見直す。

在宅移行早期加算の新設

入院から在宅医療への移行を希望する患者が円滑に在宅医療に移行できるよう、在宅医学総合管理料、特定施設入居時等医学総合管理料にに在宅移行時の早期加算を新設する。

区分 改定後 新点数
C002

C002-2
在宅移行早期加算(月1回)
100点

【算定要件】

  1. 在宅時医学総合管理料又は特定施設入居時等医学総合管理料を算定していること。
  2. 入院医療から在宅医療に移行した後、在宅時医学総合管理料又は特定施設入居時等医学総合管理料を算定し始めてから3月以内の患者であること。
  3. 患者1人につき3回に限る。また在宅医療に移行後1年以降は算定できない。

複数医療機関の在宅療養指導管理料の評価

在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院から紹介を受けた他医療機関の医師が、当該在宅療養支援診療所等が実施しているものとは異なる在宅療養指導管理を行った場合、初月に限り在宅療養指導料を算定できることとする。

救急搬送診療料について

新生児や幼児の専門医療機関の連携によりハイリスク児の円滑な受入れを推進するため、救急搬送診療料の乳幼児加算の評価を引き上げるとともに、新生児加算を新設する。

区分 改定前 旧点数 改定後 新点数
C004 【救急搬送診療料】

(1回につき)

乳幼児加算


1,300点

150点
【救急搬送診療料】

(1回につき)
新生児加算
乳幼児加算


1,300点
1,000点
500点

訪問看護におけるターミナルケアに係る評価の見直し

在宅等での死亡に限らず、ターミナルケアを行った後、医療機関に搬送され24時間以内に死亡した場合においても評価する。

区分 改定前 旧点数 改定後 新点数
C005 【在宅患者訪問看護・指導料 ターミナルケア加算】
在宅で死亡した患者に対して、保険医療機関の保険医の指示により、死亡前14日以内に2回以上在宅患者訪問看護・指導を実施し、かつ、訪問看護におけるターミナルケアに係る支援体制について患者及びその家族等に対して説明した上でターミナルケアを行った場合
2,000点 【在宅患者訪問看護・指導料 ターミナルケア加算】
在宅で死亡した患者に対して、保険医療機関の保険医の指示により、死亡前14日以内に2回以上在宅患者訪問看護・指導を実施し、かつ、訪問看護におけるターミナルケアに係る支援体制について患者及びその家族等に対して説明した上でターミナルケアを行った場合(ターミナルケアを行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した場合を含む)
2,000点
C005-1-2 【居住系施設入居者等訪問看護・指導料 居住系施設等ターミナルケア加算】
死亡した居住系施設入居者等に対して、保険医の指示により、死亡前14日以内に2回以上居住系入居者等訪問看護・指導を実施し、かつ、訪問看護におけるターミナルケアに係る支援体制について患者及び家族等に対して説明した上でターミナルケアを行った場合
2,000点 同一建物居住者訪問看護・指導料 同一建物居住者ターミナルケア加算】
死亡した同一建物居住者に対して、保険医の指示により、死亡前14日以内に2回以上同一建物居住者訪問看護・指導を実施し、かつ、訪問看護におけるターミナルケアに係る支援体制について患者及び家族等に対して説明した上でターミナルケアを行った場合(ターミナルケアを行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した場合を含む)
2,000点

患者の状態に応じた訪問看護の充実@

重度の褥瘡(真皮を超える褥瘡の状態)のある者を重症者加算および在宅移行管理加算の対象に加える。

区分 改定前 旧点数 改定後 新点数
C005
C005-1-2
【訪問看護療養費 重症者管理加算】
【在宅患者訪問看護・指導料及び居住系施設入居者等訪問看護・指導料 在宅移行管理加算】
特掲診療科の施設基準等 別表第八
在宅患者訪問看護・指導料及び居住系施設入居者等訪問看護・指導料に規定する状態等にある患者
一.在宅悪性腫瘍患者指導管理料若しくは在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者又は気管カニューレ若しくは留置カテーテルを使用している状態にある者
二.在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅自己導尿指導管理、在宅人工呼吸指導管理、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理、在宅自己疼痛管理指導管理又は在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態にある者
三.ドレーンチューブを使用している状態にある者
四.人工肛門又は人工膀胱を設置している状態にある者
五.在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者
【訪問看護療養費 重症者管理加算】
【在宅患者訪問看護・指導料及び同一建物居住者訪問看護・指導料 在宅移行管理加算】
特掲診療科の施設基準等 別表第八
在宅患者訪問看護・指導料及び同一建物居住者訪問看護・指導料に規定する状態等にある患者
一.在宅悪性腫瘍患者指導管理料若しくは在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者又は気管カニューレ若しくは留置カテーテルを使用している状態にある者
二.在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅自己導尿指導管理、在宅人工呼吸指導管理、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理、在宅自己疼痛管理指導管理又は在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態にある者
三.ドレーンチューブを使用している状態にある者
四.人工肛門又は人工膀胱を設置している状態にある者
五.在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者
六.真皮を超える褥瘡の状態にある者
【算定要件】(六について)
定期的に褥瘡の状態の観察・アセスメント・評価を行い、褥瘡の発生部位及び実施したケアの内容等を訪問看護記録書に記録すること。

患者の状態に応じた訪問看護の充実A

末期の悪性腫瘍等の対象となる利用者に対して、看護職員が同時に複数の看護職員と指定訪問看護を行う場合についての評価を新設する。(※訪問看護療養費においては看護師等(保健士、助産師、看護師、准看護士、理学療法士、作業療法士又は言語資格士)とする。)

区分 改定後 新金額
【訪問看護療養費】
複数名訪問看護加算(週一回)   看護師等
                       准看護士等

4,300点
3,800円

区分改定後新点数
C005

C005-1-2
【在宅患者訪問看護・指導料】
【同一建物居住者訪問看護・指導料】
複数名訪問看護加算(週一回)
保健士、助産師、又は看護師

             准看護士



430点
380点
【算定要件】
(1)看護職員(保健士、助産師、看護師、准看護士)が、同時に複数の看護職員と訪問看護を行うことについて、患者又はその家族等に対してその必要性を説明し、同意を得ている場合であること。
※訪問看護療養費においては看護師等とする。
(2)対象となる患者は次のいずれかであり、一人での看護職員による指定訪問看護が困難である場合
@ 末期の悪性腫瘍等
A 特別訪問看護指示期間中であって、して訪問看護を受けている者
B 特別な管理を必要とする者
C 暴力行為、著しい迷惑行為、器物損壊行為等が認められる者

乳幼児等への訪問看護の推進について

乳幼児等への訪問看護については、児の特徴を踏まえた吸引や経管栄養等への医療処置に加え、両親の精神的支援といった看護jケアが必要であることから、6歳未満の乳幼児等の在宅患者への訪問看護について評価を行う。

  改定後 新金額
【訪問看護療養費】
乳幼児加算(3歳未満)(1日につき)
幼児加算(3歳以上6歳未満)(1日につき)

500円
500円

区分 改定後 新点数
C005

C005-1-2
【在宅患者訪問看護・指導料】
【同一建物居住者訪問看護・指導料】
乳幼児加算(3歳未満)(1日につき)
幼児加算(3歳以上6歳未満)(1日につき)


50点
50点

在宅における血液透析の評価の引き上げ

在宅血液透析指導管理料について、患者が在宅で血液透析を実施している間の安全管理体制が確保されていることを踏まえて評価を引き上げるとともに、要件の見直しを行う。

区分 改定前 旧点数 改定後 新点数
C102-2 【在宅血液透析指導管理料】
(1月につき)

2回目以降
(月2回まで、初回算定から2月までの間は4回まで)



3,800点

2,000点
【在宅血液透析指導管理料】
(1月につき)

2回目以降
(初回算定から2月までの間、月2回まで)
【施設基準】
患者が血液透析を行う時間帯においては緊急連絡に対応できる体制を整えていること。
【算定要件】
関係学会等のマニュアルを参考に在宅血液透析を行うこと。

8,000点

2,000点
C156 【透析液供給装置加算】(1月につき) 8,000点 【透析液供給装置加算】(1月につき) 10,000点

在宅における難治性皮膚疾患管理の評価

頻回の皮膚処置が必要な患者について、状態に応じた適切な医療材料の選択や在宅における管理の指導を行うことを評価する。

区分改定後新点数
C114
在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料500点
【算定要件】
表皮水疱症患者であって、在宅において頻回のガーゼ交換等の皮膚処置が必要な者に対して必要な情報・管理を行った場合に算定する。

在宅療養支援病院の要件緩和

在宅療養支援病院について、在宅医療を支える地域の医療機関の役割を鑑み、その要件の変更を行うことにより拡充を図る。

改定前 旧点数 改定後 新点数
【在宅療養支援病院について】
以下の要件のいずれにも該当し、緊急時の連絡体制及び24時間往診できる体制等を確保していること。
ア 当該病院を中心とした半径4キロメートル以内に診療所が存在しないものであること。なお、半径4キロメートル以内に当該病院以外の病院が存在していても差し支えない。また、当該病院が届出を行った後に半径4キロメートル以内に診療所が開設された場合にあっても、当分の間、当該病院を在宅療養支援病院として取り扱うこととして差し支えない。

【在宅療養支援病院について】
以下の要件のいずれにも該当し、緊急時の連絡体制及び24時間往診できる体制等を確保していること。
ア 許可病床数が200床未満の病院であること、又は当該病院を中心とした半径4キロメートル以内に診療所が存在しないものであること。なお、半径4キロメートル以内に当該病院以外の病院が存在していても差し支えない。また、当該病院が届出を行った後に半径4キロメートル以内に診療所が開設された場合にあっても、当分の間、当該病院を在宅療養支援病院として取り扱うこととして差し支えない。
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