平成22年度 診療報酬改定の概要と解説

救急医療管理加算・乳幼児救急医療管理加算の引き上げ

救急搬送受入れの中心を担う二次救急医療機関を評価している救急医療管理加算・乳幼児救急医療管理加算について、評価を引き上げる。

区分 改定前 旧点数 改定後 新点数
A205 【救急医療管理加算・乳幼児救急医療管理加算】(1日につき)
1 救急医療管理加算
2 乳幼児救急医療管理加算


600点
150点
【救急医療管理加算・乳幼児救急医療管理加算】(1日につき)
1 救急医療管理加算
2 乳幼児救急医療管理加算


800点
200点

妊産婦緊急搬送入院加算の評価の引き上げと対象拡大

妊娠に係る異常による妊産婦の救急受入れを評価している妊産婦緊急搬送入院加算の評価を引き上げるとともに、妊娠以外の疾病で搬送された場合においても本加算を算定できることとする。

区分 改定前 旧点数 改定後 新点数
A205-3 【妊産婦緊急搬送入院加算】
(入院初日)
[対象者]
1 妊娠に係る異常が疑われ、救急車等により当該保険医療機関に緊急搬送された妊産婦
2 他の医療機関において、妊娠に係る異常が認められ、当該保険医療機関に緊急搬送された妊産婦 3 助産所において、妊娠に係る異常が疑われ、当該保険医療機関に緊急搬送された妊産婦
5000点
【妊産婦緊急搬送入院加算】
(入院初日)
[対象者]
1 救急車等により当該保険医療機関に緊急搬送された妊産婦
2 他の医療機関において、他院での入院医療を必要とする異常が認められ、当該保険医療機関に緊急搬送された妊産婦 3 助産所において、他院での入院医療を必要とする異常が疑われ、当該保険医療機関に緊急搬送された妊産婦
7000点

超重症児(者)入院診療加算の評価の引き上げ

超重症児(者)入院診療加算の判定基準を見直し、評価を引き上げるとともに、その要件を緩和する。また、有床診療所における同加算の算定を認める。

区分 改定前 旧点数 改定後 新点数
A212
【超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算】
1 超重症児(者)入院診療加算
イ 6歳未満の場合
ロ 6歳以上の場合
【対象者の状態】
(1)超重症の状態
イ 介助によらなければ座位が 保持できず、かつ、人工呼吸器を使用する等特別の医学的管理が必要な状態が6月以上継続している状態であること。
ロ 超重症児(者)の判定基準による判定スコアが25点以上であること。



600点
300点
【超重症児(者)入院診療加算症児(者)入院診療加算】
1 超重症児(者)入院診療加算
イ 6歳未満の場合
ロ 6歳以上の場合
【対象者の状態】
(1)超重症の状態
イ 介助によらなければ座位が保持できず、かつ、人工呼吸器を使用する等特別の医学的管理が必要な状態が継続している状態であること。
ロ 超重症児(者)の判定基準による判定スコアが25点以上であること。
【施設基準】
有床診療所においても算定可とする



800点
400点

在宅重症児の受入れの評価の新設

在宅移行した超重症児(者)又は準超重症児(者)が、医療上の必要から入院した場合について、在宅療養の継続を支援する観点から、超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算に入院早期の評価を新設する。

区分 改定後 新点数
A212 在宅重症児(者)受入加算(5日以内、1日につき) 200点
算定要件
在宅療養を行っている超重症児(者)・準超重症児(者)が、医療上の必要から入院した場合に算定する。

超重症児(者)及び準超重症児(者)の判定基準の見直し

当該基準が関連学会において見直されたことを踏まえ、超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算の対象となる超重症児又は準超重症児の状態についても見直しを行う。

陰圧室管理の評価

新型インフルエンザ等、新興感染症が発生した際に対応するため、陰圧室管理環境整備に対する評価を行う。

区分 改定前 旧点数 改定後 新点数
A220-2
【二類感染症患者療養環境特別加算】
1 個室加算

【算定対象】
二類感染症(急性灰白髄炎(ポリオ)結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。))の患者であって、保険医が他者へ感染させるおそれがあると認め、個室に入院した者

300点
【二類感染症患者療養環境特別加算】
1 個室加算
2 陰圧室加算
【算定対象】
二類感染症 (急性灰白髄炎(ポリオ)結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る 。)、鳥インフルエンザ(H5N1) )の患者又は新型インフルエンザ等感染症の患者であって、保険医が他者への感染をさせるおそれがあると認め、個室又は陰圧室に入院した者

300点
200点

医療安全対策加算の充実

医療安全対策加算について、評価の引き上げを行うとともに、より多くの病院において医療安全対策を推進する観点から、質を担保しつつ、要件を緩和した評価を新設する

区分改定前旧点数改定後新点数
A234
【医療安全対策加算】(入院初日)
50点
【医療安全対策加算】(入院初日)
1.医療安全対策加算1
2.医療安全対策加算2
【算定要件】
(1)医療安全対策に係る適切な研修を修了した専任の看護師、薬剤師その他の医療有資格者が配置されていること。
(2)その他の基準は1と同様

85点
35点

ハイリスク妊娠管理加算の対象拡大と評価の引上げ

ハイリスク妊娠管理加算について、多胎妊娠と子宮内胎児発育遅延の対象疾患の拡大を行う。
区分改定前旧点数改定後新点数
A236-2
【ハイリスク妊娠管理加算】
(1日につき)
【対象者】
妊娠22週から32週未満の早産、妊娠高血圧症候群重症、前置胎盤、妊娠30週未満の切迫早産、心疾患、糖尿病、甲状腺疾患、腎疾患、膠原病、特発性血小板減少性紫斑病、出血傾向、HIV陽性、Rh不適合、当該妊娠中に帝王切開以外の開腹手術を行った患者又は行う予定の患者

1000点
【ハイリスク妊娠管理加算】
(1日につき)
【対象者】
妊娠22週から32週未満の早産、妊娠高血圧症候群重症、前置胎盤、妊娠30週未満の切迫早産、多胎妊娠、子宮内胎児発育遅延、心疾患、糖尿病、甲状腺疾患、腎疾患、膠原病、特発性血小板減少性紫斑病、出血傾向、HIV陽性、Rh不適合、当該妊娠中に帝王切開以外の開腹手術を行った患者又は行う予定の患者

1000点

比較的長期の療養を担う病棟における退院調整加算の見直し

従来の退院調整加算について、手厚い体制で退院調整を行う場合の評価を新設するとともに、名称を変更する。

区分改定前旧点数改定後新点数
A238
【退院調整加算】








1 退院支援計画作成加算(入院中1回)
2 退院加算(退院時1回)
イ 療養病棟入院基本料等の算定患者が退院した場合
ロ 障害者施設等入院基本料等の算定患者が退院した場合


【施設基準】






退院調整部門が設置されており、退院調整に関する経験を有する専従の看護師又は社会福祉士が1名以上配置されていること。









100点

100点

300点
【慢性期病棟等退院調整加算】
1 慢性期病棟等退院調整加算1
イ 退院支援計画作成加算(入院中1回
ロ 退院加算(退院時1回)
(1)療養病棟入院基本料等の算定患者が退院した場合
(2)障害者施設等入院基本料等の算定患者が退院した場合

2 慢性期病棟等退院調整加算2
イ 退院支援計画作成加算(入院中1回)
ロ 退院加算(退院時1回)
(1)療養病棟入院基本料等の算定患者が退院した場合
(2)障害者施設等入院基本料等の算定患者が退院した場合

【施設基準】
退院加算1:退院調整部門が設置されており、退院調整に関する経験を有する専従の看護師及び専任の社会福祉士又は専任の看護師及び専従の社会福祉士が配置されていること。

退院加算2:退院調整部門が設置されており、退院調整に関する経験を有する専従の看護師又は社会福祉士が1名以上配置されていること。


100点

140点

340点



100点

100点

300点

主に急性期医療を担う病棟における退院調整加算の新設

後期高齢者退院調整加算について、急性期治療を受け、病状の安定が見込まれた患者について、必要に応じて医療と介護が切れ目なく提供されるよう、介護保険サービスの活用も含めて支援する観点から、名称変更及び対象年齢の拡大を行う。

区分 改定後 新点数
A238-2

A238-2
急性期病棟等退院調整加算1(退院時1回)

急性期病棟等退院調整加算2(退院時1回)
140点

100点

【対象患者】
65歳以上の患者又は40歳以上の特定疾患を有する患者であって、一般病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病棟)又は専門病院入院基本料(いずれも特定入院基本料を除く)を算定している患者
【算定要件】
適切なサービスの選択や手続き等について、患者及び患者家族に必要な情報提供や、適切な施設への転院等の手続きを行った場合に算定する。
【施設基準】
急性期病棟等退院加算1:退院調整部門が設置されており、退院調整に関する経験を有する専従の看護師及び専任の社会福祉士又は専任の看護師及び専従の社会福祉士が配置されていること。

急性期病棟等退院加算2:退院調整部門が設置されており、退院調整に関する経験を有する専従の看護師又は社会福祉士が1名以上配置されていること。

スムーズな介護サービスの導入につなげることを評価

病状の安定が見込まれた後できるだけ早期に、基本的な日常生活能力、認知機能、意欲等について総合的な機能評価を行うことを評価した後期高齢者総合評価加算について、名称から「後期高齢者」を削除するとともに、評価の内容に、退院後を見越した介護保険によるサービスの必要性等を位置付け、対象者を65歳以上の患者等に拡大する。

区分改定前旧点数改定後新点数
A240
【後期高齢者総合評価加算】
(入院中1回)
保険医療機関が入院中の後期高齢者である患者に対して、当該患者の基本的な日常生活能力、認知機能、意欲等について総合的な評価を行った場合に、入院中1回に限り、所定点数に加算する。

50点
総合評価加算
(入院中1回)
保険医療機関が入院中の患者(65歳以上の者及び40歳以上65歳未満の者であって介護保険法(平成9年法律第123号)第7条第3号に規定する要介護者又は同条第4号に規定する要支援者に該当することが見込まれる者に限る)に対して、当該患者の基本的な日常生活能力、認知機能、意欲、退院後の介護サービスの必要性等について総合的な評価を行った場合に、入院中1回に限り、所定点数に加算する。

50点

有床診療所の一般病床が有する後方病床機能の評価(入院基本料等加算の拡充)

有床診療所においても、所定の要件を満たした場合は、超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算、無菌治療室管理加算、放射線治療病室管理加算、重症皮膚潰瘍管理加算及び特殊疾患入院施設管理加算を算定可とする。

医療機関における後発品を積極的に使用する体制の評価

医療機関における後発医薬品の使用を進めるため、薬剤部門が後発医薬品の品質、安全性、安定供給体制等の情報を収集・評価し、その結果を踏まえ院内の薬事委員会等で採用を決定する体制を整えるとともに、後発医薬品*の採用品目数の割合が 20%以上の医療機関について、薬剤料を包括外で算定している入院患者に対する入院基本料の加算を新設する。

区分 改定後 新点数
A243 後発医薬品使用体制加算
(入院初日)
30点

【算定要件】
投薬又は注射に係る薬剤料を包括外で算定している入院患者について、入院初日に限り所定点数に加算する。
※該当する主な入院基本料
一般病棟入院基本料、結核病棟入院基本料、精神病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料、専門病院入院基本料、障害者施設入院基本料及び有床診療所入院基本料(特別基本料を含む)
【施設基準】
(1)薬剤部門において後発医薬品の品質、安全性、安定供給体制等の情報を収集・評価し、その結果を踏まえ院内の薬事委員会等で後発医薬品の採用を決定する体制を整えていること。
(2)後発医薬品の採用品目数の割合が全採用医薬品の20%以上であること。
(3)入院・外来を問わず後発医薬品の使用に積極的に取り組んでいる旨の院内掲示を行っていること。

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